誤嚥とは?起こりやすい人の特徴や原因・対策を解説|株式會社談
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誤嚥とは?起こりやすい人の特徴や原因・対策を解説

高齢者施設で食事を提供するなかで「利用者がよくむせる」「食事中に咳き込む人が増えた」と感じることはないでしょうか。誤嚥(ごえん)は命に関わる重大な事故につながる可能性があり、施設運営において見逃せないリスクです。

本記事では、誤嚥の基本的な意味から、起こりやすい人の特徴・原因・対策・注意すべき食べものまで、施設長・施設スタッフの方に向けてわかりやすく解説します。

誤嚥とは

誤嚥とは、食べものや飲みもの、唾液などが、本来通るべき食道ではなく、気道へ誤って入ってしまう状態のことです。通常は飲み込む動作に合わせて「嚥下反射」が起こり、のどの奥にある「喉頭蓋(こうとうがい)」が気管の入り口を閉じることで、食べものを食道へ送り込みます。

一方で、この飲み込むための反応が正しく働かない場合は、食べものが気管へ入り込んでしまい、誤嚥が起こります。

誤嚥は、単なる「むせ」とは異なります。むせは、誤嚥した異物を体外に排出しようとする防御反応です。とくに注意したいのは、むせが起こらないまま食べものが気道へ入り込んでしまう「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」です。本人が気づかないうちに誤嚥を重ねてしまうため、発見が遅れやすく、重症化しやすい特徴があります。

誤嚥を繰り返すと、口腔内の細菌が飲食物や唾液とともに気道へ入り、肺まで達して、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

厚生労働省の資料によると、高齢者の肺炎の7割以上が誤嚥性肺炎とされており、2021年の人口動態統計では、誤嚥性肺炎による死亡者は約5万人にのぼります。施設として誤嚥事故を防ぐことは、利用者の命と施設の信頼を守るために最優先で取り組むべき課題です。

誤嚥が起こりやすい人の特徴

誤嚥のリスクは誰にでもありますが、とくに次のような様子が見られる方は注意が必要です。施設スタッフが日常のケアのなかで「いつもと何か違う」と気づくための、外から見てわかる観察ポイントとして活用してください。

  • 食事中によくむせる、咳き込む
  • 食事のあとに声がかすれたり、濡れたような声「湿性嗄声(しっせいさせい)」になったりする
  • 食べるのに時間がかかる、食べ残しが増えた
  • 食欲が低下している、体重が減ってきた
  • 食事中や食後に発熱することがある
  • 唾液でむせることがある

これらはすべて、嚥下機能の低下が外から見えるサインとして現れたものです。声の変化はとくに見落とされやすく、食後に声質が変わる「湿性嗄声」は、誤嚥の重要なサインのひとつです。

とくに注意したいのは「不顕性誤嚥」です。むせや咳き込みがまったく見られないにもかかわらず、知らないうちに誤嚥を繰り返している場合があります。夜間の睡眠中に起こりやすく、朝方に微熱や体調不良の訴えがある場合は、不顕性誤嚥を疑うことが重要です。「この人はむせないから大丈夫」という判断は、非常に危険です。

高齢者全般に加えて、脳卒中・パーキンソン病・認知症などの既往がある方は、飲み込む力が大きく弱まっているケースが多く、とくに丁寧な観察が求められます。

誤嚥が起こる原因

本人や介助者の注意に頼るだけでは、誤嚥は防げません。誤嚥の背景には、加齢によって身体の内部で起こる機能低下という、目には見えないメカニズムがあります。

まず、飲み込みの流れを支えているのが「喉頭蓋」の役割です。食べものを飲み込むとき、喉頭蓋が気管の入り口をすばやくふさぎ、食べものが食道へ進むように働きます。一方で、年齢を重ねることで喉頭蓋を動かす力が弱まり、気管をふさぐ動きが少し遅れるだけでも、食べものが気管へ入り込んでしまいます。

次に、飲み込む際に使うのどや舌まわりの筋肉が衰えることも、大きな要因です。食べものを奥へ押し出す力が弱くなると、咽頭に食べものが残りやすくなります。さらに、加齢とともに唾液の分泌量も減少し、食べものがまとまらない状態で飲み込まれると、誤って気道へ入る原因になります。

こうした身体機能の低下は、本人の注意や意識だけで防ぐことは難しいものです。食べ方を工夫するだけでなく、一人ひとりの嚥下機能に合わせて食事の形状を調整することが、誤嚥リスクを抑えるための重要な対策となります。

誤嚥が起こりやすいタイミングは「食事中」と「就寝中」の2種類に分けられます。

食事中:飲食物の誤嚥

食事中の誤嚥は、一口の量が多すぎること、食べるペースが速すぎること、噛み切れない食材が口の中に残ることなどが原因となります。口の中に食べものがたまった状態で飲み込もうとすると、嚥下のタイミングが合わず、気管へ食べものが流れ込みやすくなります。

また、食材の形状も重要な要因です。パサパサして口の中でまとまりにくい食材は、飲み込む際にコントロールしにくく、誤嚥しやすくなります。食材そのものの「食べやすさ」と、介助スタッフのサポートの両方が、食事中の誤嚥防止には欠かせません。

こちらの記事では、高齢者の食事で気を付けることについてより詳しく解説しています。食べない・飲み込めないへの対処法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

就寝中:唾液の誤嚥

就寝中は、口の中にたまった唾液が気管に流れ込む「唾液の誤嚥」が起こることがあります。これは不顕性誤嚥の代表的なケースであり、本人はもちろんスタッフも気づきにくいため、対策が後手に回りがちです。

夜間の誤嚥を完全に防ぐことは難しいものの、日中の口腔ケアによって口内の細菌数を減らしておくことは、誤嚥性肺炎の予防につながります。また、十分な栄養や水分を確保して体力を維持することも、飲み込む力の低下を防ぎ、夜間の誤嚥リスクを抑えるための重要な取り組みです。

就寝中:胃の逆流

食後すぐに横になると、胃の内容物が逆流して気管へ入り込み、誤嚥が起こることがあります。高齢者は胃の働きが低下しているため、食道と胃の境界にある括約筋(かつやくきん)の締まりが弱くなり、逆流しやすい状態にあります。

施設では、食後のスケジュール管理が重要です。食後少なくとも30分から1時間は、上半身を起こした姿勢を保つよう心がけましょう。就寝前の夜食や、臥床が多い利用者への食後ポジショニングの工夫も、誤嚥リスクの低減に効果的です。

誤嚥を防ぐ対策

誤嚥を防ぐためには、口腔ケア・嚥下機能の維持・食事姿勢という3つの柱を意識したケアが基本となります。

ただし、施設の現場では「とろみをつければ安心」と考えられることもありますが、すべての方に適しているわけではありません。とろみが強すぎる場合、かえって飲み込みにくくなり、誤嚥や窒息のリスクを高める可能性があります。

重要なのは、一人ひとりの嚥下機能に合わせて食事形態を調整することです。ソフト食・ミキサー食・ゼリー食などの嚥下調整食を適切に取り入れ、3つのケアと組み合わせることで、誤嚥リスクの低減につながります。

口腔ケアをする

口腔ケアは、誤嚥性肺炎の予防につながる重要な対策のひとつです。口の中には非常に多くの細菌が存在しており、これらが唾液や食べものとともに気管に入り込むことで誤嚥性肺炎が引き起こされます。毎食後の歯磨きや専門的な口腔ケアを継続することで、口内の細菌数を大幅に減らせます。

とくに自分で歯磨きができない利用者、義歯を使用している利用者は、ケアが不足しがちです。スタッフが丁寧にケアを行い、口腔内を清潔に保つことが、誤嚥性肺炎の予防につながります。

嚥下機能を向上させる

嚥下機能は、適切なトレーニングによって維持・向上させられます。代表的なのが「パタカラ体操」です。「パ・タ・カ・ラ」の音をはっきり発音することで、口や舌、のど周りの筋肉を鍛え、食べものを飲み込む力の維持につながります。

それぞれの音には、以下のような役割があります。

  • 「パ」:唇をしっかり閉じる力を鍛える
  • 「タ」:舌を上あごに押し付ける力を鍛える
  • 「カ」:のどを締める力を鍛える
  • 「ラ」:舌先を丸めて動かす力を鍛える

食事前に毎日取り組むことで、口やのどの機能を維持し、誤嚥予防につながります。

施設では、朝のレクリエーションや食事前の体操として取り入れることで、利用者が楽しみながら継続しやすくなります。「訓練」ではなく「日課」として施設全体で取り組む雰囲気をつくることが大切です。

食事中の姿勢を意識する

食事中の姿勢は、誤嚥リスクに大きく影響します。もっとも基本となるのは「顎を引いた姿勢」です。顎を引くことで気管の入り口が狭くなり、食べものが気管へ入り込みにくくなります。

椅子での食事は足底を床につけ、上半身をやや前傾させます。ベッドでは上半身を30度から60度起こすことが推奨されますが、適切な角度は身体の状態によって異なるため、医師や理学療法士など専門職と連携しながら個々の利用者に合わせてください。

食事姿勢の工夫に加えて、食事そのものの形状を見直すことも、現場での誤嚥予防には欠かせません。

談らんが提供するソフト食・ミキサー食・ゼリー食は、主菜・副菜・お味噌汁の具材などを、献立に合わせて最適な温度で再加熱・保冷し、盛り付けるだけで提供できます。

特別な調理技術がなくても、どなたでも簡単に提供できるため、利用者一人ひとりの嚥下機能に合わせた食事形態を選びながら、安全性に配慮したおいしい食事を届けることができます。

誤嚥しやすい食べもの・飲みもの

食べものの種類によって、誤嚥のしやすさは大きく異なります。施設での献立づくりや食事介助を行う際に、とくに注意が必要な食べものと飲みものを確認しておきましょう。

水分が少ない食べもの

パン、カステラ、クッキー、いも類、ゆで卵などは、水分が少なくパサパサしているため、口の中でうまくまとまりません。唾液の少ない高齢者にとっては、飲み込む際に食べものがばらけてしまい、気管へ入り込みやすくなります。提供の際には汁物とセットにするか、あらかじめやわらかく煮るなどの下処理が必要です。

こうした対応を施設内の調理だけで毎日徹底するには、スタッフの技術や調理にかかる時間が大きな負担となります。

談らんのソフト食は、パサつきやすい食材でも素材の水分を保ちながら、食べやすく飲み込みやすい食感に仕上げています。調理負担を軽減しながら、利用者の状態に合わせた安全な食事提供をサポートします。

粘着性の高い食べもの

餅、だんご、あんこ、海苔、わかめ、もなかの皮などは、口の中やのどの粘膜に張り付きやすく、窒息や誤嚥の原因となります。とくに餅は、高齢者施設における窒息事故の原因として上位に挙げられる食材です。こうした食材は原則として提供を避けるか、提供する場合はきわめて小さくカットし、スタッフが見守れる環境で提供する必要があります。

行事食として季節感を演出しながらも安全性を確保するには、見た目は餅らしくてもやわらかく仕上げた代替品の活用も有効です。

とろみのない飲みもの

水、お茶、ジュースなど、とろみのないサラサラした液体は、口の中で制御しにくく、嚥下のタイミングが合わないと気管に流れ込みやすくなります。高齢者に多い「水でむせる」という状態は、嚥下機能が低下しているサインです。

対策としてとろみ剤の使用は有効ですが、前述のとおり、とろみをつけすぎると逆に飲み込みにくくなる場合があります。個々の状態に合わせた適切な粘度調整が必要です。

談らんのゼリー食は、水分補給と安全性を両立できる食事形態として、施設での活用に適しています。飲み込みやすい形状で無理なく水分を摂取できるため、脱水予防にもつながります。

酸味の強い食べもの

酢の物、柑橘類、梅干しなど、酸味の強い食べものは、のどへの刺激が強く、むせやすくなる場合があります。これらを完全に除外すると、食事の楽しみが失われてしまいかねません。

談らんは味へのこだわりを大切にしています。酸味のある食材もやわらかくなじみやすい形状に工夫することで、食事の楽しみを損なわず安全に提供できる献立づくりを実現しています。

まとめ

誤嚥は、口腔ケアや嚥下体操、食事姿勢の見直しに加え、利用者一人ひとりの嚥下機能に合わせて食事形態を調整することで、リスクを大きく低減できます。毎日の食事で安全性と食べる楽しみを両立するためには、適切な嚥下食を安定して提供できる環境づくりが重要です。

しかし、施設内で個別の食事形態に対応しながら調理を行うには、スタッフの負担や衛生管理、品質の安定などさまざまな課題があります。

談らんでは、ソフト食・ミキサー食・ゼリー食など、利用者の状態に合わせた嚥下食を提供でき、真空調理による衛生管理の徹底や異物混入リスクの低減にも対応しています。調理負担を軽減しながら、利用者の状態に合わせた食事形態を実現可能です。

誤嚥対策の強化とスタッフの調理負担軽減を両立したい施設の方は、ぜひ談らんの無料サンプルをお試しください。

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