高齢者がむせる対処と原因を解説|未然に防ぐ食事介助・調理法|株式會社談
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高齢者がむせる対処と原因を解説|未然に防ぐ食事介助・調理法

有料老人ホームなどの介護現場では、食事中に入居者がむせる場面に直面することが少なくありません。むせは、食べ物や飲み物が誤って気管に入りそうになったときに起こる体の防御反応ですが、対応を誤ると、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や窒息につながるおそれがあります。

そのため、むせの程度に応じた適切な対応を知っておくことが大切です。

本記事では、むせたときの初期対応をはじめ、むせやすくなる原因や予防策、介護現場で実践できる食事の工夫についてわかりやすく解説します。

高齢者が食事中にむせるときの対処法と初期対応

厚生労働省の統計によると、2024年に誤嚥性肺炎で亡くなった人は63,667人にのぼり、死因の第6位を占めています。食事中のむせは、決して軽視できません。むせへの対応手順は、その程度によって異なります。

まずは軽い場合と激しい場合、それぞれの初期対応を確認しましょう。

出典:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei24/dl/15_gaikyouR06.pdf

むせ方が比較的軽い場合の対処法

軽いむせは、日常的にも起こりうるものです。慌てず、次の手順で落ち着いて対応しましょう。

前かがみの姿勢をとらせて背中を優しくさする

高齢者が軽くむせたときは、まず前かがみの姿勢をとってもらいましょう。前かがみになることで、重力の働きにより、気管に入りかけた食べ物や唾液が出やすくなります。

背中を優しくさすりながら「大丈夫ですよ」「ゆっくり咳をしてくださいね」など、安心できる声かけを続けてください。パニックになると余計にむせが強くなることもあるため、まずは落ち着いて見守ることが大切です。

食事を一時中断して様子を見る

むせが続いている間は、いったん食事を中断しましょう。無理に食べ続けさせると、再びむせたり、誤って気管に食べ物が入ったりするおそれがあります。

咳がおさまるまで数分程度様子を見て、呼吸の状態や顔色に変化がないかを確認してください。あわせて、口の中に食べ物が残っていないかも確認しておくと、再びむせるリスクを抑えられます。焦って食事を再開させず、入居者本人のペースを尊重することも大切です。

呼吸が完全に落ち着いたことを確認し水分をとらせる

むせたあとに、すぐにお茶や水を飲ませるのは避けましょう。咳が続いている状態で水分をとると、誤嚥をさらに引き起こすおそれがあります。

咳が完全におさまり、呼吸が安定してから、少量ずつ水分をとってもらうようにしてください。必要に応じて、とろみをつけると飲み込みやすくなります。

無理に水分を勧めず、入居者の状態を見ながらゆっくりと対応することが大切です。

激しくむせ込んでいる場合の対処法

呼吸が苦しそうな様子や顔色の変化が見られる場合は、迅速な対応が求められます。次の手順で異物の排出を試みましょう。

異物が目視できる場合は指で速やかに掻き出す

激しくむせ込み、呼吸が苦しそうな場合は、まず口の中を確認しましょう。入れ歯を使用している場合は外し、食べ物などの異物が目視できるときは、慎重に取り除きます。

ただし、無理に指を入れて掻き出そうとすると、かえって異物を奥へ押し込んでしまうおそれがあります。異物が見えている場合に限り、必要に応じてガーゼを指に巻くなどして、無理のない範囲で取り除くようにしてください。

意識がある場合は背部叩打法で排出を促す

口の中に異物が見当たらない場合や、掻き出しても改善しない場合は、背部叩打法(はいぶこうだほう)を行います。高齢者の後ろから片手で胸を支え、もう片方の手のひらの付け根で肩甲骨の間を強く数回叩きます。

軽いむせのときとは異なり、異物の排出が目的となるため、ためらわずにしっかりとした力で叩くことが重要です。

状況に応じてハイムリッヒ法(腹部圧迫法)を試みる

背部叩打法で異物が出ない場合は、ハイムリッヒ法(腹部圧迫法)を試みます。高齢者の後ろに回り、へそのやや上にこぶしを当て、もう片方の手で包み込むようにして、瞬間的に上方へ突き上げます。

ただし、高度肥満の方や妊娠中の方、乳児には行ってはいけません。内臓を傷つけるおそれがあるため、実施後は必ず医療機関を受診し、内臓に損傷がないかを確認してもらってください。

意識がない場合や窒息の危険が高いと感じた場合は、ためらわずに119番へ通報しましょう。日ごろから緊急時の対応手順をスタッフ間で共有し、誰が対応しても迷わず動けるようにしておくことも大切です。

高齢者が食事中にむせる主な原因

むせが起こる背景には、いくつかの原因があります。食べ物を口に入れてから飲み込むまでには、噛む、送り込む、飲み込むという一連の動作が関わっており、そのいずれかに不具合が生じると、むせが起こりやすくなります。

原因を理解しておくと、入居者一人ひとりに合わせたケアの質を高めることにもつながります。

食べ物が誤って気管に入り込む「誤嚥」

誤嚥とは、本来食道に入るはずの食べ物や唾液が、誤って気管に入ってしまう状態です。むせは、気管に入りかけた異物を外へ押し出そうとする体の防御反応として起こります。

一方で、高齢になると、むせをともなわずに誤嚥が起こる「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」も見られるようになります。本人も周囲も気づかないまま進行しやすいため、むせがないからといって安心せず、食後の様子や声の変化にも注意を払いましょう。

こちらの記事では「誤嚥(ごえん)」について詳しく解説しています。起こりやすい人の特徴や対策についても取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

喉の入り口まで食べ物が侵入する「喉頭侵入」

喉頭侵入(こうとうしんにゅう)とは、食べ物が誤嚥の一歩手前である喉頭(気管の入り口部分)まで入り込んでしまう状態です。まだ気管には達していないものの、放置すると誤嚥へ進行するおそれがあります。

食事中にむせやすい、飲み込みにくそうにしているといった様子が見られた場合は、早めに異変に気づくことが大切です。日ごろから入居者の食事の様子を観察し、小さな変化も見逃さないよう心がけましょう。

飲み込んだ後の喉に食べ物が残る「咽頭残留」

咽頭残留(いんとうざんりゅう)は、飲み込んだ後も喉に食べ物が残ってしまう状態を指します。食後に「ガラガラ声」になったり、何度も飲み込む動作を繰り返したりする様子が見られたら、咽頭残留のサインかもしれません。

咽頭残留が続くと、残った食べ物が後から気管に流れ込み、食後しばらく経ってから誤嚥を起こすこともあります。現場スタッフがこうした変化に気づくことで、誤嚥のリスクを早期に察知できます。

食後すぐに横にならず、しばらく座った姿勢を保つことも予防につながります。

加齢による「咀嚼力や嚥下筋」の衰え

加齢とともに、噛む力や飲み込みに関わる筋肉は少しずつ衰えていきます。筋力が低下すると、食べ物が気管に入りそうになったときに咳で押し出す反射も遅れやすくなり、誤嚥につながりやすくなります。

高齢者の肺炎は、その多くが誤嚥性肺炎であるとする報告もあり、加齢による嚥下機能の低下は見過ごせない要因です。入居者ごとの咀嚼力や嚥下機能を把握し、身体能力に合わせた対応を心がけましょう。

出典:日本老年医学会雑誌「超高齢社会における誤嚥性肺炎の現状」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/50/4/50_458/_article/-char/ja

「入れ歯の不適合」による噛み合わせの悪化

入れ歯が合わなくなると、噛み合わせが悪化し、食べ物を十分に噛み砕けなくなります。うまく噛めない状態が続くと、飲み込みにくさやむせにつながるだけでなく、口腔機能全体が低下する、いわゆるオーラルフレイルにもつながりかねません。

体重の増減や歯茎のやせなどにより、入れ歯は少しずつ合わなくなっていくものです。入れ歯の状態を定期的に確認し、合わなくなっていないかをチェックすることが大切です。違和感を訴える様子が見られた場合は、早めに歯科への相談を促しましょう。

高齢者のむせを未然に防ぐ食事のとらせ方

むせを未然に防ぐには、日々の食事介助での工夫が欠かせません。一つひとつは小さな工夫でも、積み重ねることでむせの発生を減らせます。

現場スタッフの介助方法を標準化するためにも、以下のポイントを取り入れてみましょう。

むせにくい正しい姿勢をキープする

食事の際は、足の裏をしっかり床につけ、あごを軽く引いた姿勢を意識しましょう。あごが上がった状態では、食べ物が気管に入りやすくなってしまいます。

椅子の高さが体に合わない場合は、クッションなどで調整し、安定した姿勢を保てるようにしてください。車椅子を使用している入居者についても、テーブルとの高さや位置関係を定期的に見直すことをおすすめします。

スプーンや食器を工夫して一口の量を適切に保つ

一口の量が多いと、一度に喉へ送り込まれる食べ物が増え、むせや誤嚥のリスクが高まります。目安は、ティースプーン1杯分程度です。

食べづらそうな様子が見られる場合は、スプーンの大きさや食器の形状を見直してみましょう。浅すぎるスプーンは食べ物がこぼれやすく、大きすぎるスプーンは一口の量が増えやすくなります。

入居者一人ひとりの口の大きさや、飲み込む力に合わせて選ぶことが大切です。

また、一口の量だけでなく、食べるペースを入居者に合わせることも重要です。食事のペースを合わせる工夫として、介護者が一緒に食事をとり、入居者が一口食べたら介護者も一口食べる「交互食べ」を取り入れるのも有効です。

介護者が自身の食べる動作を挟むことで、自然と介助のペースがゆっくりになり、次々に食べ物を口へ運んでしまうことによる誤嚥や窒息を防ぐことにつながります。

テレビを消すなど食事に集中できる環境を作る

食事中にテレビや周囲の話し声が気になると、注意がそれてしまい、むせやすくなります。とくに認知機能が低下している入居者にとっては、食事に集中できる環境づくりが重要です。

テレビを消したり、席の配置を工夫したりして、落ち着いて食事ができる環境を整えましょう。

また、会話を楽しみながら食事をすることも大切ですが、食べることに意識を向けられるよう、声かけのタイミングに配慮することも必要です。

食事前に口腔体操を行わせる

食事の前に口腔体操を取り入れると、唾液の分泌が促され、飲み込みの準備が整いやすくなります。口腔体操とは、口や舌を動かして、食べたり飲み込んだりするための機能を整える運動のことです。

口を大きく開けたり、舌を左右に動かしたりする簡単な動作でも、嚥下反射(食べ物を飲み込む反応)がスムーズになることが期待できます。

食事前の習慣として取り入れることで、むせの予防につながるでしょう。

肺炎を予防するためには、食後の口腔ケアも重要です。高齢者は口の中の細菌が増えやすく、細菌が唾液などとともに気管へ入り込むと、肺炎を引き起こすリスクが高まります。

日々の歯磨きや舌の清掃、うがいによって口の中を清潔に保つことで、万が一誤嚥が起きた場合でも、肺炎の重症化を防ぐことにつながります。

また、入れ歯を使用している場合は、毎日洗浄して清潔を保つことが大切です。食後の口腔ケアを習慣化し、口腔内を清潔な状態に保ちましょう。

高齢者のむせを防ぐための調理の工夫

施設の厨房では、入居者一人ひとりの嚥下状態に合わせて、刻み食やとろみ付けを個別に調理することに限界を感じる場面も多いのではないでしょうか。とくに人手が限られる中規模の施設では、見た目や味を保ちながら、安全性も両立させることが大きな課題となります。

また、安全を優先してミキサー食やペースト食に切り替えたものの、見た目の彩りや形が失われることで食欲がわかず、結果として残食が増えてしまうケースも少なくありません。せっかく安全な食形態を選んでも、入居者が食べきれなければ低栄養のリスクにもつながりかねず、施設としては悩ましい課題です。

調理の工夫を知っておくと、少ない人手でも、見た目や美味しさを保ちながら、むせにくく安全な食事を無理なく提供できるようになります。

粘り気があり口の中でまとまりやすい食材を揃える

パサつきやすい食材は口の中でまとまりにくく、むせの原因になりやすいため注意が必要です。口の中でまとまりやすい食材を選ぶほか、あんかけにするなど、飲み込みやすくする工夫を取り入れましょう。

介護食サービス「談らん」では、口の中でまとまりやすいゼリー食をはじめ、さまざまな嚥下食を取りそろえています。厨房での個別調理が難しい場合の選択肢としても活用できます。

パサつく硬い食材を避け、やわらかく滑らかに仕上げる

硬い食材は、やわらかくなるまでしっかり煮込む、蒸すなどの工夫で食べやすくなります。家庭や施設の厨房でこうしたやわらかさを毎食安定して再現するのは、手間も時間もかかる作業です。

「談らん」では、パウチの中で調理を完結させる真空調理により徹底した衛生管理を実現しつつ、チルドでの保存によって素材本来の味わいとやわらかさを保った完調品(完全調理済み冷蔵(チルド)食品)を提供しており、個別調理の負担を外部に任せながら、質の高い食事を届けられます。

お茶やスープなどの水分にはとろみを加える

水分は喉の奥へ流れ込む速度が速く、むせやすいため、とろみをつけることが基本です。とろみの程度は、薄い・中間・濃いなど、入居者の状態に合わせて見極める必要があり、現場での判断に迷う場面も少なくありません。

「談らん」では基本食に嚥下食対応メニューを組み合わせて利用できるため、とろみの調整に迷う場面を減らしながら、安定した品質の食事を提供できます。

まとめ

高齢者の食事中のむせは、初期対応を誤ると、誤嚥性肺炎や窒息などの重大な事故につながるおそれがあります。むせの原因や適切な対処法を理解し、日々の介助や調理を工夫することが、入居者の安全を守るうえで重要です。

また、食事トラブルを減らすことは、入居者やご家族からの信頼につながるだけでなく、スタッフの負担軽減や離職防止にも役立ちます。安全で安心な食事を提供できる環境は、入居者の満足度とスタッフの働きやすさを支える土台となるでしょう。

日々の介助では、食事中の姿勢や一口の量に配慮することに加え「食後30分は座位を保つ」など、食後の見守りまでを習慣化することが大切です。咽頭残留による誤嚥を防ぐためにも、食事前から食後までを一連のケアとして考えましょう。

現場での個別調理に限界を感じている場合は「談らん」の嚥下食対応メニューを活用することで、安心・安全な食事提供と業務の効率化を両立できます。入居者一人ひとりに合った食事の提供を検討している方は、ぜひ「談らん」にご相談ください。

談らんでは、真空調理やチルド保存といった独自の品質管理を徹底し、すべての施設へ変わらない美味しさと安心をお届けしております。お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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